少し間を置いて、改めてFABの58とPEMPの58の細部を比較しました。
屋根上の表情ですが、かなり違う部分があります。
まず目に付くのはガラベンのサイズです。これは、図面や写真を見るとサイズは2種類はあるようです。FABは大きく、PEMPは小さいです。それぞれの機番のガラベンがどうなのか・・・写真でなかなか屋根上が見比べられず何とも言えない部分です。ちなみにネコの新ディテール・ファイルに出ている写真では61号は大きいガラベン、157号は小さいガラベンのようです。この本の図面はどちらも大きく書かれていて結構いい加減です。
ちなみに実車の写真を検討すると、45号、62号両方とも大きなガラベン、モニタが傾斜する部分はRが付いています。FABのガラベンにPEMPのモニターの前側のRが正解なようです。おおむね初期の大窓車はガラベンが大きく、後期の小窓は小さいように見えます。斜めになるところへのつながりはメーカーにより違うようですが、初期車はおおむねRが付いているように見えます。
パンタは、PEMPの方が小さく、FABの方が全体に大きいです。写真、図面から追うと、FABの方がオーバースケールと思われます。PEMPのもちょっと大きいかなと感じるので、FABのはちょっと大きすぎかな・・・同様に、避雷器もFABの方が大きく、よくよく比較するとエコーの1658番の避雷器と同じパーツのようです・・・うーん
SGのハッチは、PEMPがやや小さく角が丸い、FABがやや大きく角が角張っています。ネコの本の図面はFABの物に近いのですが写真で比較するとPEMPの方がサイズ、Rは似ています。
高圧引き込み線は、FABの形はちょっと変で、PEMPの形がよく似ています。
色々細かく比較していますが、全体的な印象はFABは全体のラインが角張っていて、ちょっと固い印象があります。側面から屋根に掛かる部分のRもやや小さく角張って見えます。PEMPはFABに比べて柔らかいラインで、Rの印象の押さえ方はより似ているように感じます。
あくまでも私の個人的な印象です。何度か触れたネコの本は図面がだいぶいい加減な印象があります。線が固く、実物と違う部分も多々あります。写真をより見比べて検討する必要がありそうです。
追記:
ホイッスルの位置ですが、FABのは車体長手方向の中央により過ぎているように見えます。PEMPの方が位置的に合っているように感じます。取り付け位置がヘッドライトが終わる場所と同じぐらいの端からの位置ではないかと思います。太さはFABの方がよいように感じますが、長さはFABのは明らかに長すぎですね・・・
またランボード先端のおでこ上に有る手すりの位置は、FABの方が良いのですが、サイズはちょっと大きいかも。
また正面の折り角は、PEMPの方がキツくFABの方が緩いです。これはちょっと微妙なのでもう少し検証してみますが・・その反面角度がキツいPEMPの方が乗務員ドアは端により、FABの方が中央によっています。気がついていた最も書きにくい部分なのですが、FABの58の乗務員室側窓の前が実車よりかなり幅が広く、このあたりが影響していると思われます。実車は乗務室側窓の水切りが終わるとすぐにRになるのにかなり平面が続いています・・・・大事な顔のプロポーションが大きく崩れていますから・・・修正も簡単には出来ない部分です。
全体の印象ですが、58の中でもやや角張っている川崎製に全体の印象が似ていると感じているのですが。PEMPは東芝のような印象があります。このキット、東芝大窓と書くのは辛いかな・・・
追記その2
ガラベンは大型、小型はメーカーによって異なるようです。汽車、川重、三菱はガラベンが小さいようです。モニターのRは確認し切れませんが、小さなガラベンのメーカーがRが角張っているようにも見えます。また、ハッチのサイズ形状ですが、サイズはFABの方が良いようです。角のRもメーカーにより異なるようで、角張っている物も多数有ります。車体全体的に、川重、三菱は角張っているような感じがします。
追記その3
色々な意見はあるでしょうが、16番のようにどうしても変形せざる得ない模型の場合、多少の形態についてはどうしょうもない部分でもありましたが、ファインを標榜している以上、形態などについては許容範囲が狭いのはしょうがないのかなと考えています。寸法的間違いはファインとして最もその価値をスポイルする部分でもあると思うのです。ファインであるからなおさら、その形態のとらえ方にどれぐらいの審美眼を持っているかも要求されているように考えています。微妙な曲面のとらえ方はとても難しいものだと思います。そして、根元的形態についての違いはやはり看過できないのではないでしょうか。
私の作る模型が大した出来とは思えませんが、模型は美的センスが強く要求される物であることも今回強く感じました。かつて、なかおゆたか氏のセンスに惚れた模型ファンも多かったように、そしてPEMPの58に改めて黒岩さんのセンスを強く感じてしまったのです。今回の製品が最も日本で有名な電気機関車とも言えるEF58であったためとても多くの資料があったのもこの様な形態への指摘に至ってしまったかもしれません。明治の古典機であれば誰もこんなに言ったりしなかったでしょう。
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